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GPS 衛星側での補正

GPS 衛星上では相対論的効果により、時間の進み方が地表と異なるので、 あらかじめ衛星搭載時計の周波数を $ -4.45 \times 10^{-10}$ オフセットして、UTC(協定世界時)と同期し ています。

  1. 一般相対論による補正(重力による赤方偏移)

    地球表面と、GPS 衛星上での重力ポテンシャルの差により、GPS 衛星上での時間は地表より早く進みます。その大きさは、

    \begin{displaymath}
\Delta U / c^2 = 5.27 \times 10^{-10}
\end{displaymath} (14)

    です。

  2. 特殊相対論による補正(2次ドップラー効果)

    GPS 衛星の速度(3.874 km/sec)により、GPS 衛星上での時間は地 表より遅くなります。その大きさは、

    \begin{displaymath}
-(v/c)^2/2 = -8.4 \times 10^{-11}
\end{displaymath} (15)

    です。

相対論的効果による時間の遅れをまとめると、 地球中心を基準にした慣性座標系 ECI(Earth-Centered Inertial system) の中を速度 $v$ で移動する時計の示す固有時 $d \tau$ は、座標時 $dt$ と以下の関係になります。

\begin{displaymath}
d \tau \approx \left(1 + \frac{U}{c^2} - \frac{v^2}{2 c^2}\right)dt
\end{displaymath} (16)

GPS 衛星は完全な円軌道ではないので、一様なオフセットだけでは相対論的効果 を除去できません。精密な位置決定のためには 式 (16) まで立ち戻って考慮する必要があります。



Kiyohide NOMURA 平成21年6月10日