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: RTK GPS(Real Time Kinematic : 相対測位 : DGPS(Differential GPS)

干渉測位法

元来 GPS は移動体での位置計測用ですが、固定した(複数の)地点の測地用には 観測時間を伸ばすことで精度を向上できます。10 km 離れた2点間の距離を 数 mm の精度で図ることができます。これは、従来方式の GPS が搬送波に乗ってい るコードパターンの時間差を検出するのに対し、搬送波そのものの位相差(波長 の約 1/100 まで)を直接検出するものです。

干渉測位での誤差要因としては GPS 衛星の原子時計の誤差、GPS 衛星の位置誤 差、受信機の時計の短時間時間安定性などがあります。これを打ち消すため、2 つの衛星からの電波を2点の受信点でうけ、位相差の組合せにより誤差を相殺す る「2重位相差方式」[1]が開発され、精度が向上しました。なお、電 離層遅延、対流圏遅延は距離が近い場合には相関があるので2重位相差方式で消 去可能ですが、距離が遠くなるにつれこれらの誤差要因が大きくなります。

干渉測位特有の誤差要因としては波長の整数倍の不確定さがあります。これを消 去するには、時間経過に伴う GPS 衛星の位置変化の情報を用いますが、この補 正には30分から1時間程度の連続的な観測(初期化)が必要です。 したがって移動体の計測には向きません。なお、多数の衛星を利用したり、複数 の周波数を使うことで初期化の時間は短縮できます。

干渉測位法は精密測量に用いられています。これにより、地震前後の地面の変移 なども観測できます。



Kiyohide NOMURA 平成21年6月10日