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: S=1 量子スピン鎖での3量相 : 現在までの研究概要 : 現在までの研究概要

S=1 量子スピン鎖の Haldane 予想

量子スピン鎖は単純であるが、興味ある多体効果を持つ物性物理の研究課題であ る。というのは高次元で有効であった平均場近似が量子揺らぎのため使えなくな るからである。S=1/2 の反強磁性ハイゼンベルク模型は厳密解(ベーテ仮説)・ ボゾン化・更に共形場理論により詳しく調べられており、 励起スペクトルのギャップが無く長距離秩序はないが、相関長が∞(相関関数が冪 乗的に振舞う)ということが知られていた。

スピン数が大きくなっても同様であると考えられていたが、1983 年 Haldane [1]が整数量子スピン系を半古典極限で非線形シグマモ デルに写像して、励起スペクトルにギャップがあり相関長有限という予 想をしてから実験面、理論面での研究が盛んになった。

この問題に関し、量子モンテカルロ法で計算し、相関関数が 2次元 オルンシュ タイン・ゼルニッケ型( $r^{-1/2} \exp(-r/\xi)$)で振舞うことを見い出し、 $\xi=6.25$ と評価した(単純な指数型だと $\xi=5$ 前後に小さめに見積もるこ とになる) [2]。

また、異方性を入れて Haldane 相と Neel 相の間の相転移を調べ、そのユニバー サリティークラスが古典2次元イジングモデルと同じクラスであることを示した [3]。



Kiyohide Nomura 平成15年6月7日