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: QZSS のコストパーフォーマンス改善案 : 準天頂衛星システムについての意見 : 運営組織の問題

QZSS の経済波及効果

  1. 準天頂衛星システム(QZSS) の経済波及効果は一部報道では10兆円と いわれている.
  2. しかし,これほど大きな経済波及効果が本当にあるなら,QZSS と類似の 民生目的の Galileo 計画はもっとスムーズにいったはずである.Galileo 計画は 当初予定より約7年遅れているが,外交的問題の他,当初予定の民間からの出資が見込 めなくなったことによる計画変更がある.

  3. QZSS の経済波及効果といわれているものの中には GPS や Galileo 利 用のものも混じっていると思われる.他の GNSS 利用と QZSS 利用の経済 効果を分離するのは難しい.
  4. QZSS で次世代 GNSS の世界標準(レシーバーを含め)を目指すといった議論があ るが,そもそも QZSS は地域航法衛星システムであるので,前提自体がお かしい.

  5. 実用衛星として大きな経済波及効果が見込まれるなら,民間運用に任せた 方が効率的である. 民間の宇宙利用には例えば
    1. 通信衛星
    2. 放送衛星
    3. インターネット衛星(IPSTAR, KA-SAT, きずな等)
    4. 衛星電話(イリジウム,グローバルスター,Thuraya等)
    5. 高解像度地球観測衛星(IKONOS,WorldView-1, 2,GeoEye-1)
    などである(なお,通信衛星,インターネット衛星,衛星電話他はそれぞれ重 複).

    日本はインターネット衛星「きずな」を打ち上げているが,商用のインターネッ ト衛星ほどには利用されていない.また,当初は「きずな」後継の商用 の BBISS 衛星が予定されていたが中断.

    QZSS 自体,2002-2006 年には通信放送ビジネスと兼用が考えられたが,見通しが立たず中 止された.

  6. 日本の国家プロジェクトで,経済効果が大きいと当初いわれたものには, 十分な成果をあげてないものや,他のプロジェクトと競合するものが多い.

    科学技術プロジェクトとしては原子力船「むつ」,高速増殖炉「もんじゅ」,あるいはもっと枠を広げると,地方空港(約9 割が赤字),地方新幹線,高速道路の建設(交通網として重複投資,並行在来 線問題) 他に様々な公共事業.



Kiyohide NOMURA 平成23年12月27日