: QZSS の経済波及効果
: 準天頂衛星システムについての意見
: 技術面:重複投資
準天頂システム(QZSS) を推進運用するに適した既存の省庁があるにもかかわらず,
内閣が主導となって行っている.
これは日本の宇宙計画のなかで QZSS を聖域化しようという意図と受け取られて
もしかたがないし,また内閣が複数の宇宙プロジェクトの指令塔
となろうとすることと QZSS 重点推進は矛盾する.
- 諸外国の衛星測位システム(GNSS) はしばしば国防と関連して整備されているが,民生利用を主体として整備
される場合は運輸関係の省庁が運用主体となっている(GPS, Galileo)
- 日本でも,国土交通省は
GNSS の整備運用に最適の組織である.
- 管轄下の気象庁が人工衛星運用の経験を 30年以上積んでいる.
- また GPS 補強システム(MSAS)を2005 年から運用している.
- 国土交通省管轄下の国土地理院は GPS 利用の電子基準点を長年整備してきてい
る.
- しかしながら,準天頂システムは,
国土交通省などではなく,
内閣府枠から予算申請している
[10]
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特定の宇宙プロジェクトを,内閣自体が推進するのは異例である.
あえていえば情報収集衛星(IGS) を内閣情報調査室が運用している例くらいであ
る.
- 12月22日の報道によると宇宙戦略室(仮称)を内閣府に新設する予定
[11]
だそうである.
ところで,この組織の目的は
- 宇宙政策の司令塔機能(宇宙利用の企画・立案や政府内の調整)
- 準天頂衛星システムの開発、整備、運用の施策実施機能
だそうであるが,複数の宇宙プロジェクトの相互調整と,特定の単一宇宙プロジェクトの
推進を同じ機関で行うのは明かに矛盾している.
Kiyohide NOMURA
平成23年12月27日