上記の研究では BKT転移点の上での SU(2)対称性を利用していた。しかし通常の BKT転移はSU(2)対称ではない。ところで BKT転移に対応する点では sine-Gordon 模型は SU(2) Thirringモデルと等価である。よってこの対称性が隠れた形で相 関関数または転送行列の固有値に反映されるものと予想し、繰り込み群の計算を した。 BKT転移はある operatorが irrelevantから relevantに変わる点で起き るので、 BKT転移線上で marginalとなる(複数の) operatorsに注目して解析 した。Marginal fieldと、 fieldとの間に hybridization が起こることが重要であり、 BKT転移点の上で幾つかの固有値に縮退が起きる (これは SU(2)対称性の名残と考えられる)。これを使って転移点を正確に求め られ、同時に複数の固有値を用い対数補正を取り除き臨界指数を精度良く求めら れる。これが [11]のフランスでの研究(レベルスペクトロスコピー) である。共形場理論で2次元臨界現象の分類は終ったと思われていたが、繰り込 みが本質的である場合には共形場理論のみでは不十分である。
レベルスペクトロスコピー法を S=1,3/2 XXZ交替ボンド鎖の Haldane相、XY相、 dimer相などの相転移に応用している(北澤君との共同研究 [12,13])。相図を求めるだけでなく、 相境界での対称性を調べて相転移の物理的意味を明確にできた。 S=1鎖の場合 BKT転移線が丁度 XY模型と重なっており、この点での特殊な 対称性を反 映したものと考えられ、 Haldane予想に対する新たな洞察を与える。また hidden topological orderと相転移との関連についても明確 にできた。