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: S=1/2 ハイゼンベルクスピン鎖での対数補正 : 現在までの研究概要 : S=1 量子スピン鎖での3量相

1次元量子系での量子臨界現象と対数補正

ここ数年の研究テーマは、超弦理論の発展過程で生まれた2次元共形場理論を、 1次元量子系・2次元古典系の臨界現象に応用することである。特に深く堀下げ たのは、共形場理論でコンフォーマルアノマリー c=1のモデル(物性論では、朝 永・ラッティンジャー流体に対応)で、対数補正の出る場合である。この場合、 厳密には共形不変性が成立しないが、臨界固定点近傍の領域(off-critical) に関しても、演算子積展開 (OPE)から繰り込み群方程式を導け、励起スペク トルの構造についても議論できる。従来、共形場理論では off-criticalの問題は十分には調べられておらず、 Kac-Moody代数と繰り込み群 を使って対数補正を議論する場合も、 SU(2)対称性を前提としていたため、対称 性を弱く崩した場合の研究が不十分であった。 c=1共形場理論での対数補正は、 物性理論での Berezinskii-Kosterlitz-Thouless (BKT)転移や、1次元電子系の モット転移と関係する。





Kiyohide Nomura 平成15年6月7日