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: 電子系 : 具体例 : スピン系(S=1/2; 対称性)

スピン系(S=1)

次にボンド交替のある XXZ スピン鎖
\begin{displaymath}
H= \sum_{j=1}^{L} (1-\delta (-1)^j)
(S^x_j S^x_{j+1} +S^y_j S^y_{j+1}+ \Delta S^z_j S^z_{j+1})
\end{displaymath} (24)

を例にとる.これは,スピンパイエルス転移で重要であるし, もともと相互作用が交替的な物質もある. この系で S=1の場合,臨界的($\xi = \infty$)な XY 相 と,massive な Haldane,dimer 相がある [26,17]. 前節と異なり Haldane相,dimer 相には対称性の破れ がない.従って XY-Haldane,dimer 相の転移は $K=4$ BKT 転移に当たる.

この場合,ハミルトニアン(24) で 量子数($m=0,q=0,P=1$)の第1励起と,( $m =\pm 4, q=0, P=1$)の最低励起 の交差から BKT 転移線が決められる(図 6). 注目すべきことに,XY-Haldane の相境界はちょうど $\Delta=0$ であるが,こ れについて納得できる説明はまだない.

図 6: S=1 のボンド交替鎖の相図.XY-dimer,XY-Haldane は BKT 転移, dimer-Haldane はガウシアン転移,Néel の相境界は2次元イジングタイプ のユニバーサリティークラス ([17] Fig.1 より転載).
\begin{figure}
\end{figure}

さらに,量子数($m=0,q=0,P=-1$)の励起と量子数($m=0,q=0,P=1$)の第2 励起があるが,これらに対する対数補正の寄与は BKT 転移線上で $-1:1:2$ なので励起スペクトルの情報から対数補正を打ち消しス ケーリング次元を求めることができる(図 7).

図 7: BKT 転移線上でのスケーリング次元.$\times ,\Box $: 裸のスケーリ ング次元,$\circ $: 対数補正取り除いたスケーリング次元 ([17] Fig.4 より転載).
\begin{figure}
\end{figure}



Kiyohide Nomura 平成16年6月8日