次元古典系(または絶対零度の 次元量子系)ハミルトニアン
この時,式(1)がスケール不変であるためには,
でなくてはならない[7].はじめにならのままなので,これ
を臨界固定点と呼ぶ.
スケール変換
で有効結合定数
が臨界固定点から発散する場合()を relevant,
収束する場合()を irrelevant,
中間()を marginal と呼ぶ.実際は が 以上での
スケール変換は無意味で,このスケー
ルが相関距離 に当たり,relevant な場合は
,
irrelevant な場合は臨界固定点に流れ込み
である.
同じく
で秩序変数の期待値
は有限になるので,
と振舞う.
外場をかけると共役な秩序変数
がオーダーする
が,例えば強磁性体で転移点付近で温度を変えると,(磁化など)他の秩序変数
もオーダーすることがある(自発的対称性の破れ).
この他,相関関数
は
(2) |
微小なスケール変換
に対しては,
式(1) を摂動論的に扱える.この
とき,2次相転移は
(3) |
一方,BKT 転移のような臨界相(,massless)から相関距離有限(massive)
の相への相転移を記述する繰り込み群方程式の候補には
2次相転移では臨界領域()が相図の中で 孤立しているが,BKT 転移では広がった領域にある. 従って が BKT 転移点を探す良い指標にならず, 2次転移で有効だった有限サイズスケーリング 法 [9] は BKT 転移に応用できない [10,11]. さらに2次転移では 関数の零点が転移点に対応していたが, BKT 転移では特別な意味がない.
また BKT 転移線上での繰り込み群的振舞いは,relevant でも irrelevant でも なく,marginal なので,対数補正 が現れ,有限サイズ効果が強く効く.関連して相関距離が2次転移の に対し, BKT 転移では と非常に強い発散になる. 従って有限サイズ効果が2次転移より大きく, 有限系からの外挿で から転移点を推定すると, massive 領域を狭く見積もることになる.
判定条件 がうまく機能しないのは,外挿などの誤差を含む量 で零か有限か判定しているからである. BKT転移点で大小関係が入れ換わる量を見つけられれば,転移点が精 度良く数値計算から求まると予想される. これがレベルスペクトロスコピーの基本的発想である.