next up previous
: ユニバーサリティークラスの確認(スケーリング次元) : レベルスペクトロスコピー : 対称性の破れを伴う BKT 転移

ひねり境界条件(TBC)

$Z_2$ 対称性の破れを伴う BKT 転移では,ガウシアン転移線の両側の massive 相は,パリティ対称性で区別できた. では,通常の BKT 転移で2つの massive 相 をどう区別したら良いか? 北澤のひねり境界条件法 [16,17]を使うと,隠れ た $Z_2 \times Z_2$ 対称性の破れが明確になる.

ひねり境界条件(TBC)は,4節のバーテックス演算子で表現すると,

\begin{displaymath}
\exp ( \pm i \sqrt{2} \theta(z_{0},z_{1}+L))
=-\exp ( \pm i \sqrt{2} \theta(z_{0},z_{1}))
\end{displaymath} (7)

または具体例の量子スピン系(5.2 節参照)で
\begin{displaymath}
S^{x,y}_{L+j} \equiv -S^{x,y}_j, S^z_{L+j} \equiv S^z_j
\end{displaymath} (8)

という境界条件をとることにあたる.

TBC の元で反転操作に対する対称性が定義される(ただし,周期境 界条件(PBC)のパリティとは別).この量子数に対応し,ガウシアン転移線で $m=0$ の状態に準位交差が起きる(表 1 の TBC の項参照).

さらに TBC を使うと BKT 転移線上での(隠れた) SU(2) 対称性が明確になる.つまり,PBC での $q=0,m=\pm 2$ の励起と TBC での $m=0$ の励起の準位交差からBKT転移点を決められる [13](表 1 参照).

レベルスペクトロスコピーにひねり境界条件法を併用すると精度の向上に加え, 量子数の関係で磁化プラトーの問題が扱い易くなる.



Kiyohide Nomura 平成16年6月8日